試験杭って何だろう(その2)

試験杭 現場メモ

今回は、場所打ち杭にて

3月末、都内某所にて鉄筋コンクリート9階共同住宅の
現場が始まりました。
最近は専ら杭工事と言えば、鋼管杭が多かったのですが
今回は、地盤調査の結果及び、建物規模形状等を考慮し
構造設計を行った結果、場所打ち杭のアースドリル工法の
採用となり、先日試験杭の立会いを行いました。
試験杭ってなんだろう
https://t2-archi.com/blog/checking-the-test-pile/

アースドリル工法って

アースドリルの重機に専用のバケットを装着して杭先端を
機械式で拡大掘削する工法です。

この工法は、杭先端を拡大することで高い杭先端支持力を
得ることが出来ます。
同じ杭先端面積のストレートの杭と比較して、杭軸部を細く
できるため、工期短縮、コンクリートや掘削残土の量を低減
することが出来るといわれており、掘削機本体だけで軸部
掘削からコンクリート打設までの全行程の作業が可能となり、
比較的狭い敷地条件でも施工可能と言われています。

杭径(杭の直径)は大よそ800mmから3000mm程度までの
杭施工が出来ると言われております。
ちなみに、今回は杭径1500mm、杭長26mの杭を6本施工
することとなっております。

主な特徴メリット

地下水のない粘性土で、比較的安定した地盤には
他の工法より適しています。
設備が比較的簡易で、地盤が安定していれば、施工効率が
良く、他の杭に比べて経済的と言われています。
また、施工時の騒音・指導が比較的少ない。

デメリットは

被圧水位が地表面より高かったり、伏流水のある場合は
施工困難になってしまします。
掘削機の長さに限度があり、長い杭には不向きだったり
廃泥土の処理がやや困難という事もあります。

主な施工の流れ

重機類の搬入後に、掘削機を水平にして杭心にセットします。
その後、掘削を開始します。
表層ケーシングの建て込み予定深度まで掘削し、
ケーシングをセットします。

↑表層ケーシングセット状況

↑安定液の確認

土質に適した安定液を注入しながら掘削します。
掘削中、バケットが満杯になると、引き上げます。
表層部の孔壁はケーシングを使用し、それ以降は
安定液で保護します。

着工前の地盤調査では、深さ1.0mごとに地中から
サンプルを採取して地盤の確認を行います。

試験杭の杭孔掘削時にも、1.0mごとにサンプルを採取し、
着工前に採取したサンプルと同質かどうかを確認します。
支持層の確認後、根入れ掘削を行います。

↑採取サンプル

バケットに土砂が溜まるので、底ざらいバケットで一次
孔底処理を行います。
その後、鉄筋カゴを孔内に建て込み、トレミー菅を挿入します。
コンクリートを底部から打設するので、2~6メートルの鉄管を
接続していきます。

↑鉄筋かご挿入

また、沈殿物がある場合は二次孔底処理を行います。
そして、トレミーでコンクリートを打設していきます。
打設完了後、表層ケーシングを引き抜いて、空堀り部分
の埋め戻しを行います。

↑コンクリート打設

 

杭工事が完了すると、重機にて掘削を行い杭頭処理があります。
杭頭処理とは、コンクリート打設の際、トレミー菅で杭底部より
生コンを打設していき下から上へとコンクリートが這い上がって
来るような感じです。
そのため、最初に打設したコンクリートはベントナイト溶液や
崩れた土などの細かな不純物が混じってしまっている事があり、
そのため、杭の頂部を約1メートル程度斫り不純部分を除去し、
順次、基礎鉄筋工事へと進んでいきます。

おわりに

このような一連の作業にて一つの杭を構築していきます。
郊外の大きな敷地であれば、掘削時の残土や鉄筋かごも
場内にストック出来て作業効率は上がるとは思います。

しかし、都内の限られたスペースで行う場合は、残土の
ダンプや鉄筋かごの搬入トラックなどが手際よく段取り
されていないと一気に作業効率が落ちる感じです。
このあたりは、現場代理人の手腕にも掛かるかと思われます。

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