再建築不可物件とは?
不動産情報サイトや不動産会社で土地や住宅を
探しているときに、「再建築不可物件」を
目にすることはないでしょうか?
再建築不可物件とは、法律上の問題から、
現在ある建物を解体して立て替えをすることが
できない物件をいいます。
なぜ再建築不可になるのか
建て替えができない再建築不可物件となる理由は
いくつかありますが、主に建築基準法の接道要件を
満たしていないケースが中心です。
建築基準法では、都市計画区域と準都市計画区域内
の場合、原則として建物を建てる土地は幅員4m以上の
道路に2m以上接していることが義務付けられています。
家などの建物が建つ敷地が幅4m以上の道路に面して
いないケースや、道路に接する部分が通路になっている
旗竿地で通路の幅が2mに満たないケースなどは、
接道要件を満たしていません。
建築基準法は1950年、都市計画法は1968年に作られた
法律のため、法律が施行される前、あるいは都市計画
区域や準都市計画区域に指定される前に建てられた
建物の中には、接道要件を満たしていないケースが
稀にあるのです。
とはいえ、後からできた法律によって建築基準法の
要件を満たさない状態となっているため、再建築不可物件
だからといて取り壊す必要はありません。
再建築不可物件は建て替えなどの工事ができませんが、
そのまま住み続けることはできます。
↑改修前の築50年程度の住宅
表層リフォームだけでは済まないレベル。
どこまで対応出来るか?
再建築不可物件の立て替えができないのは、建物の
新築等には建築確認申請が必要なためです。
建物を新築等の際には、図面や書類を用意して行政や
指定確認検査機関などに建築確認申請を行います。
行政や指定確認検査機関などで建築基準法などの法令に
適合しているかの審査が行われ、適合が確認されると
確認済証が交付され、工事に着工できるようになります。
再建築不可物件を立て替えようとしても、建築基準法の
接道要件を満たしていないため、一般的には確認済証の
交付は出来ません。
このほかに、増築や大規模な修繕で建築確認申請が
必要なケースに該当する場合も同様です。
増築で建築確認申請が必要になるのは、10平米を超える
増築を行う場合です。
ただし、防火地域や準防火地域は面積に関わらず増築には
建築確認申請が必要となり、東京23区は殆どのエリアが
防火地域・準防火地域に含まれています。
また、大規模な修繕は、主要構造部である壁や柱、床、梁、
屋根、階段のうちいずれかの半分以上を改変する
ケースが該当します。
再建築不可物件でできる工事は、基本的にこうした
建築確認申請が不要な範囲内の増築や修繕に限られます。
↑内部解体中。写真中央は元々の浴室
木造住宅は再建築不可物件でも スケルトン改修が可能
では、特に木造住宅は経年劣化によって雨水などで、
主要構造部と言われる柱や梁等が傷んでいくことが
考えられますが、そのまま住み続けるしかないのでしょうか?
再建築不可物件は、大規模な修繕が必ずしもできない
わけではありません。
4号建物については、例外的に大規模修な修繕を行うために
必要な建築確認申請を省略してよいとされているため
可能なのです。
4号建物に該当するのは、主に「木造2階以下・
延床面積500平米以下」の建物となり戸建住宅の
イメージで良いかと思います。
つまり、多くの木造住宅は大規模な修繕でも
建築確認申請が不要なため、スケルトン改修もできるのです。
スケルトン改修とは、屋根や外壁、内装、設備などを撤去して、
柱と梁の骨組みのみの状態にする、内外装の改修工事をいいます。
再建築不可物件は築50年以上の物件が中心のため、
メンテナンス状況にもよりますが、老朽化が進んでいます。
スケルトン改修を行い、屋根や外壁を一新して、柱や
梁などの躯体の傷んでいる箇所を補強するとともに、
内装や設備を一新することで新築に近い状態の住まいに
変えることができます。
但し、建築確認申請を省略してよいというのは
手続き上の話であり、改修する建物自体は建築基準法に
適合させる必要はありますのでご注意ください。
↑元々浴室があった場所なので、土台の腐ってる事は
想定内。この後土台を入れ替える予定
また、どの程度までの工事が可能か判断が
難しい部分もあるため、再建築不可物件のスケルトン改修を
検討する際には、建築家などに相談した方が良いです。
新築と同程度の費用がかかる事も
再建築不可物件は築年数が経過しているため、現行の
耐震基準を満たしていない住宅が多くを占めるため、
安全に暮らすためには耐震補強工事が必要です。
また、それ以外にも、躯体の老朽化した箇所の補強工事が
必要となり、快適に暮らすためには断熱工事を行います。
外装や内装、設備も一新することからも、再建築不可物件の
スケルトン改修には新築と同程度の費用がかかるという点に
注意が必要です。
↑床廻り解体、この後に防湿フィルム+土間コンにて
防湿措置を施す予定
↑防湿フィルム+土間コンにて防湿措置の施工後
おわりに
再建築不可物件であっても、4号建物に該当する木造住宅
であれば、スケルトン改修を行うことが可能です。
↑完成予想イメージ
すでに再建築不可物件に住んでいる場合には、
スケルトン改修によって老朽化した状態から、
暮らしやすい住まいに変えることができます。
一方で、スケルトン改修を前提に再建築不可物件を
購入するのは、建て替えができず売却がしにくいという
リスクを踏まえておく必要があります。