地盤調査について改めて解説

地盤と建物基礎 住宅

地震大国と呼ばれる日本では、家を建てる際に地盤調査を行い、
土地の地盤の強度を調べる必要があります。
地盤調査の結果、万が一、購入した土地の地盤が弱いことが
判明しても、地盤改良を行うことで、安心して暮らせる住まいをつくれます。
今回は、地盤調査の必要性や調査方法、費用などについて解説していきます。

地盤調査とは

地盤調査とは、その土地に建物を建てても大丈夫か、
地盤の強度を調べるための調査をいいます。
地盤調査では、計画する建物の重さに耐えられる地盤か、
あるいは液状化の危険度などを調べます。
地盤の強度は土地の見た目からは判断できません。

その土地に建てる建物の階数や構造、使用する材料などによる
重さによって、必要とされる地盤の強度が異なります。
そのため、地盤調査を実施するのは、住宅の規模や構造などが
ある程度決まった段階です。

地盤調査の必要性

地盤調査を実施せず、軟弱な地盤の土地ということを
知らずに住宅を建てると、地盤が建物の重さに
耐えられないことから、地盤沈下や建物が傾く不同沈下が
生じるリスクがあります。
また、軟弱な地盤のエリアは地震が発生したときに、
液状化現象が起きる可能性も考えられます。

安全性の高い建物を建てるためには、地盤調査の結果を
踏まえて構造計算を行い、建物のプランや構造を検討します。
また、地盤が軟弱と判明した場合には、必要に応じて
地盤改良工事を実施します。

また、以前は地盤調査を実施せずに住宅を建てることが
可能でしたが、現在は建築基準法や品確法・住宅瑕疵担保履行法で
実質的に義務付けられています。

建築基準法施行令第93条では、
「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、
国土交通大臣が定める方法によって、地盤調査を行い、
その結果に基づいて定めなければならない」と
規定されています。
地盤調査を実施し、地盤の許容応力度や基礎ぐいの
許容支持力に応じた設計を行う必要があります。

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)では、
住宅の建設会社や新築住宅の売主(不動産会社)に、
構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、
引渡から10年間の瑕疵担保責任を義務付けています。

さらに住宅瑕疵担保履行法では、建設会社や不動産会社に
瑕疵担保責任が生じた場合に修繕費用を負担するための
資力を確保するために、住宅瑕疵担保責任保険への加入、
または保証金の供託が義務付けられました。

そのため、一部の例外はありますが、建設会社や
不動産会社が住宅瑕疵担保責任保険に加入する際には、
地盤調査の結果の提出が求められることも、実質的な
地盤調査の義務化につながっています。

↑都内湾岸エリアの柱状図、大昔は海だった場所。
 深度30m迄は地盤が悪い事が一目瞭然。

地盤調査の主な方法

住宅を建てる際の地盤調査の主な方法として、
SWS試験、表面波探査法、ボーリング調査が挙げられます。

SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)

木造住宅を建てる際に実施する地盤調査で一般的なのはSWS試験です。
SWS試験は、地中に先端がスクリュー状の鉄の棒を
地中に差し込み、通常、10m程度の深さに達するまでの
ハンドルの回転数や重りの重さや回転数をもとに、
地盤の強度を調べる方法です。

SWS試験で調査を行うのは、通常、土地の4隅と中央の5箇所で、
鉄の棒の幅の3.5cmがそれぞれの調査地点の調査範囲となります。
SWS試験は簡易的な地盤調査方法で、調査は半日程度で終わります。

ただし、調査範囲が狭く、地質は粘性土か砂質土かといった点が
わかる程度で、土質の詳細や地層の傾きといった地盤の詳細な状態はわかりません。

しかし、一般的な木造住宅を建てるには、SWS試験で
得られる調査結果で充分なため、広く利用されています。
また、SWS調査を取り扱っている調査会社は多くあることも特徴です。

表面波探査法

木造住宅を建てる場合の地盤調査では、表面波探査法が
採用されることもあります。

表面波探査法は、振動を発生させる装置1台と振動の検出器2台を
地面に置いて、2台の検出器に振動波が伝わる速度を計測し、
地盤の強度を測る方法です。2台の検出器間の到達速度が
速い場合は硬い良好な地盤、到達速度が遅い場合は軟弱な地盤と判断されます。
表面波探査法は地盤調査にあたって装置を設置するだけで済み、
地面を掘らないことから、調査時間が短いというメリットがあります。

また、地盤の硬度を正確に調べられることが特徴です。
建物を建てたときに想定される沈下量や、地層の傾きなどもわかります。
一方で、表面波探査法では土質の種類を詳しく把握することはできません。
また、地中に空洞や埋設物がある場合には影響を受けやすいことも難点です。

ボーリング調査

鉄筋コンクリート造や鉄骨造の住宅、マンション、ビルを
建てる場合には、主にボーリング調査が採用されています。
ボーリング調査にはいくつかの方法があります。

標準貫入試験では円筒形状の穴を開けて、深さ1mごとに、
75㎝の高さから63.5kgのハンマーを落下させて、先端の
サンプラーを土中に30cm打ち込むために必要な打撃回数を計測します。
これを頑丈な地盤が見つかるまで、何十メートルも繰り返して実施します。
ボーリング調査を行う際には、土のサンプリングも行うのが一般的です。

地盤の強度のほか、土質や地質構造、各地層の強さ、地下水の水位
といった地盤の詳細な状態を把握できます。

ただし、ボーリング調査を実施するには広い調査スペースが必要であり、
狭小地での調査には向いていません。
他の調査方法よりも調査期間が長く、数日を要することもあります。
また、調査の際の打撃音などが大きく、住宅街などでは周辺へ配慮が必要です。
地盤と建物基礎

地盤調査の費用相場

地盤調査にかかる費用は調査方法によって差があります。
調査費用の相場はSWS試験が最も安く、一般的な住宅の場合で
5万円~10万円程度が目安です。
表面波探査法の費用相場は6万円~12万円程度。

ボーリング調査は、測定地点の数などの規模や地層にもよって
異なりますが、15万円~30万円程度が目安となります。

地盤調査は、今では住宅を建てる際にも必須となる調査です。
安全な家づくりには、地盤調査の実施が不可欠といえます。
家づくりのための費用の予算を建てる際には、
地盤調査費用がかかることを見込んでおきましょう。

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