建築士の資格改めて解説

その他

毎年12月下旬は、一級建築士試験の合格発表です。

建築士は建築物の設計や工事監理を行う資格で、
建築工事の施工管理などでも活躍しています。
建築士には一級建築士と二級建築士、木造建築士という
3つの種類があり、上位資格ほど、取り扱える建築物の範囲が広くなります。

しかし、実際に建築士はどんな仕事をしているのか、
知らない方は少なくないのではないでしょうか。

今回は建築士という資格の種類や資格による対応できる
業務範囲の違い、活躍する場などを紹介していきます。

そもそも建築士とは?

建築士は建築物の設計・工事監理を行うことができる国家資格です。
建築士には一級建築士・二級建築士・木造建築士という3つの
資格があり、建築物の規模・用途・構造により、取り扱える業務範囲が異なります。

建築士は業務独占資格であり、一定の建築物の設計・
工事監理は建築士の有資格者でなければできないことが、
建築士法で定められています。
また、独占業務以外にも、建築工事契約に関する事務や
建築工事の指導監督、建築物に関する調査・鑑定、建築に
関する法令・条例にもとづく手続きの代理といった業務を
行うこともできます。

また、建築士法では建築士の有資格者以外は建築士を
名乗ることができないという規定も設けられており、
名称独占資格でもあります。

↑一級建築士免許証と管理建築士講習修了証

難関資格!?一級建築士の人数は?

建築士の資格の中でも、一級建築士は難関資格と
位置付けられています。
では、一級建築士はどのくらいの人数がいるのでしょうか。
国土交通省が「建築行政に係る最近の動向」でとりまとめた
データをもとにみていきます。

2017年3月時点で一級建築士の登録者数は36万6,755人です。
一方、建築士が設計や工事監理などの業務を行うには、
建築士事務所に所属する必要があるため、現役として活躍
している建築士の数は建築士事務所への所属数が参考になります。

2017年4月時点で、建築士事務所に所属する一級建築士は
14万810人です。
年代別にみていくと、20代は1,295人(1%)と少なく、
30代は1万5,528人(11%)、40代は3万3,074人(24%)、
50代は3万7,128人(26%)、60代は4万987人(29%)、
70代は1万1,413人(8%)、80代は1,339人(1%)となっています。

年齢別の人口構成による影響も考えられますが、
20代~30代で一級建築士の資格を取得して活躍している人が
多いことがうかがえます。

参照:国土交通省|建築行政に係る最近の動向
https://www.mlit.go.jp/common/001205303.pdf

一級建築士

一級建築士は国土交通大臣の免許で、全ての構造・
規模・用途の建築物の設計、工事監理などを行える資格です。
ただし、一定規模の以上の建築物の構造設計や設備設計を
行うには、構造一級設計士や設備一級設計士の有資格者が
法適合確認を行う必要があります。

一級建築士の業務範囲には、木造建築士や二級建築士の
業務範囲も含まれます。

<一級建築士だけが設計・工事監理を行える建築物>
・木造建築物で高さ13mまたは軒の高さ9mを超えるもの
・延べ面積が1,000平米を超えて階数が2つ以上のもの
・鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの建築物で、
延べ面積が300平米を超えるもの・高さ13mまたは
軒の高さ9mを超えるもの
・学校、病院、劇場、映画館、公会堂、集会場、百貨店
などの用途に用いる建築物で、延べ面積が500平方メートル以上あるもの

二級建築士

二級建築士は都道府県知事の免許で、比較的小規模な
建築物の設計・工事監理を行える資格です。
二級建築士は木造建築士よりも業務範囲が広く、木造
建築物のほか、鉄骨造や鉄筋コンクリートなどの建築物も
一定の規模まで設計・工事監理を行うことができます。

<二級建築士の業務範囲>
・木造建築物は高さ13mまたは軒の高さ9m以下で、
階数が1つの場合は延床面積の制限がなく、階数が
2つの以上場合は延床面積1,000平米以下のもの
(学校、病院、劇場、映画館、公会堂、集会場、百貨店
などの用途に用いる建築物で、延床面積500平米を超えるものを除く)
・鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの建築物は、高さ13m
または軒の高さ9m以下で、延床面積300平米以下のもの

木造建築士

木造建築士は都道府県知事の免許で、小規模な
木造建築物に限って設計・工事監理を行える資格です。
木造建築物しか取り扱うことができず、二級建築士よりも対応できる範囲が狭いです。

<木造建築士の業務範囲>
・木造建築物で高さ13mまたは軒の高さ9m以下で、
階数は2つまでで、延べ床面積300平米以下のもの

ちなみに、木造建築物で高さ13mまたは軒の高さ9m以下で、
階数は2つまで、延べ床面積100平米以下の場合は、
建築士の資格がなくても誰でも設計・工事監理を行うことが可能です。

建築士の仕事内容「設計・工事監理」とは?

建築士の主な仕事内容は独占業務である設計と工事監理です。
設計と工事監理はどんな業務を指すのか、建築士法で規定されています。

設計とは、設計図書を作成することをいいます。
設計図書とは建築物を建てるための工事に必要な図面は
仕様書のことです。
建築士は建築基準法や関連法令を遵守したうえで、安全性や
機能性も踏まえて建築物の設計を行います。

工事監理とは、実際に工事が設計図書通りに実施されて
いるか、設計図書と照合して確認することをいいます。
建築基準法では建築主は工事監理者を置くことが義務付けられています。
工事監理は設計者である建築士に依頼するケースが多い
ですが、別の建築士に頼むことも可能です。

建築士は様々な場で活躍

建築士は建築物の設計や工事監理以外にも、
現場監督とも呼ばれる施工管理や建築関係のコンサルタント
などとしても活躍の場があります。
建築士の就職先・転職先には、ゼネコンや設計事務所、
工務店、ハウスメーカー、リフォーム会社のほか、
デベロッパーなど不動産関係、役所などもあり、多彩な場で活躍できる資格です。

ゼネコンは大規模な建設工事(土木工事・建築工事)の
マネジメント手掛ける建設会社です。
工事の規模の面から、ゼネコンで活躍するのは主に一級建築士です。
建築部門の設計部で設計業務を担当するか、あるいは工事部で施工管理を担当っています。

設計事務所はアトリエ系設計事務所と組織系設計事務所に
分けられます。
アトリエ系設計事務所は比較的少人数で代表の作家性が強く
反映されるのが特徴です。
組織系設計事務所は、多くの建築士が所属して規模の大きい
建築物の設計・工事監理を手掛け、意匠と構造、設備のいずれの
設計業務も行っています。
また、建築物の構造計算や構造設計、耐震診断・補強設計などを
行う構造設計事務所や、設備設計に特化した設備設計事務所があり、
一級建築士や構造一級建築士、設備一級建築士などが活躍しています。

ハウスメーカーや工務店は一級建築士に限らず、多くの
二級建築士が活躍する場です。
一般的な木造住宅であれば、二級建築士の資格で設計・
工事監理を担当できます。
ハウスメーカーや工務店でも、設計や施工管理の業務で建築士が活躍しています。

リフォーム会社には必ずしも、建築士が在籍しているわけではありません。
キッチンやトイレ・洗面台、あるいはサッシといった住宅設備や
建材の交換をメインにしている会社では限られ、間取り変更を
含めた大規模なリフォームを手掛ける会社には、建築士が在籍していることが多いです。

おわりに

建築士には建築物の設計・工事監理という独占業務があり、
プロとして建築に関わる仕事を担っています。
一級建築士など建築士の有資格者は専門的な知識があることを
資格によって裏付けされています。
家づくりやリフォームを考えたときには、設計事務所などの
建築士などに相談しましょう。

 

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