金沢にて建築を観る①

建築見学

久々、金沢に訪れる。

石川県の県庁所在地金沢市。
以前から気になる建築があり約10年ぶりに訪れてみました。
前回は金沢21世紀美術館と鈴木大拙館に訪れましたが、
今回、鈴木大拙館は臨時休館また、元日に起きた能登半島地震の
影響で金沢21世紀美術館は一部のみのオープンという事でした。
2日にかけて前述の金沢21世紀美術館含めた建築探訪をしました。

金沢21世紀美術館

今から20年ほど前の2004年にオープンしました。
設計はSANAA(妹島和世・西沢立衛の両氏)両氏については
改めて説明する必要はないので割愛させて頂きます。
この美術館は、全国的に有名で金沢が誇る人気の観光スポット。
誰もがいつでも立ち寄ることができ、様々な出会いの場と
なることを目指した現代アート美術館です。

色々なガイドブックにも掲載されている
レアンドロ・エルリッヒ作の《スイミング・プール》は
プールを介して地上と地下で人と人が出会うことができる
とても有名な作品です。
見逃せない見学ポイントではありますが、今回は地震の影響もあり
入ることは出来ませんでした。

↑10年前に行った時の写真「スイミング・プール」
無料ゾーンにある、現代作家ジェームス・タレル作の
「ブループラネットスカイ」。通称:タレルの部屋で知られる
展示作品で、自動扉の奥へと入っていくと、目の前に飾りのない
正方形の空間が広がっています。

天井は大きな吹き抜けとなっていて、空が見えるようになっています。
晴れた日には室内に陽光が注ぎ込み温かな雰囲気を醸し出します。
吹き抜けから見える空は、一面に広がる青空の日もあれば、
青空と白い雲がひとつの絵画のように見える日もあります。

↑ブループラネットスカイ

地震の影響

能登半島地震で被災した金沢21世紀美術館は、地震発生後に休館し、
2月6日から交流(無料)ゾーンの一部を再開しています。

地震の影響で、展示室の天井ガラス板が一部落下したことを受け、
市は全館で約800枚使用しているガラス板を全て撤去することにし、
全館再開が2024年6月下旬以降にずれ込む見通しとの事です。

谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館

谷口吉郎・谷口吉生氏と言えば建築界隈では知らない人が
いないといえるほどの著名な建築家だと思います。
父である谷口吉郎氏は東宮御所や帝国劇場の設計者として
昭和初期~中期において活躍し、息子である谷口吉生氏は
葛西臨海水族園やニューヨーク近代美術館新館などの手掛けた
日本を代表する建築家です。

先程の金沢21世紀美術館から、徒歩20分金沢市内を流れる屑川を
見下ろす高台に建つ建物は、谷口吉郎がかつて暮らした住まいの
跡地に計画され2019年オープンしました。

↑外観・エントランス

↑外観・エントランスの反対側

勿論設計は、吉郎氏の長男である吉生氏が担当しました。
建築・都市についての美術館で、魅力的な金沢の建築や
街づくりについて学べるだけでなく、建築家谷口親子の建築作品を
じっくりと鑑賞することができます。

外観は石に覆われた鉄筋コンクリート造とガラス張りによって構成され
スタイリッシュなデザインの中に、抽象化された和の要素が表現され
無駄な要素が一切排された、美しいディテールです。
正面にある低い庇や縁は、軒高も周囲の景観と調和させるために
低めに作り出しています。

同館の大きな見どころは、谷口吉郎氏の代表作である
迎賓館赤坂離宮和風別館「游心亭」の広間と茶室を忠実に
再現した空間が常設展示され、水庭など外の景色を室内に取り込むべく、
傾斜天井が取り入れられています。
広間の傾斜天井の先に見える外部の景観と水盤も必見です。

↑「游心亭」の広間
「游心亭」が忠実に再現されているのでしょうが、吉生氏の
洗練されたデザインの中にある事が、展示をより一層際立たせています。

↑「游心亭」の展示空間

↑「游心亭」の展示空間前に広がる水盤

他にもある金沢市にある谷口建築

〈鈴木大拙館〉谷口吉生氏設計
金沢出身の世界的な仏教哲学者、鈴木大拙の考えや
足跡を伝え、思想を学び、思索の場とすることを目的に
開設された文化施設。
場所:金沢市本多町3丁目4−20

〈金沢市立玉川図書館〉谷口吉郎・吉生氏設計
谷口吉郎・吉生親子による、唯一の共作。
父・吉郎が総合監修し、子・吉生が設計を担当した。
場所:金沢市玉川町2−20

〈いしかわ生活工芸ミュージアム〉谷口吉郎氏設計
加賀友禅や九谷焼など、石川県の伝統的工芸品36種
すべてを展示する県内唯一の施設。
谷口吉郎が手がけた〈石川県立美術館〉の建物を
利用して、1984年に開館した。
場所:金沢市兼六町1−1

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