長期優良住宅について

住宅

住宅の建築を検討しているとき

住宅の建築を検討しているとき、長期優良住宅という
言葉を聞くことがあるのではないでしょうか。
長期優良住宅は数世代にわたって安全で快適に暮らすための
機能が備わった住宅です。
長期優良住宅の認定を受けることで、住宅ローンの金利や
住宅ローン減税などの税金の面で優遇措置を受けられます。
今回は長期優良住宅の認定を受ける方法やメリット、
デメリットなどを紹介していきます。

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態で使用する
ための措置がとられている住宅として、所管行政庁への
申請によって認定を受けている住宅をいいます。

長期優良住宅に求められる措置は5つあります。

・長期に使用するための構造・設備が備わっている
・居住環境などへの配慮している
・住戸面積が一定以上ある
・維持保全の期間や方法を決めている
・自然災害へ配慮している

長期優良住宅の認定を受ける方法

長期優良住宅の認定を受けるには、工事の着工前に
申請手続きが必要です。
申請手続きは建築主が自ら行うほか、施工会社に依頼することもできます。

新築の場合の長期優良住宅の認定申請手続きの流れを簡単にまとめました。

①申請者が登録住宅性能評価機関に対して、
長期使用構造等であるかの確認を申請する。
◎確認申請書または設計住宅性能評価申請書・
添付図書(設計内容説明書・各種図面・各種計算書)を提出

②登録住宅性能評価機関が長期使用構造等であるかの
確認を行い、申請者に確認書等を交付する。

③申請者が所管行政庁に認定申請を行う。
建築確認申請の同時審査も可能。
◎認定申請書・添付図書(確認書等・各種図面・
その他行政官庁が必要とする書類)を提出

④行政官庁が適合審査・認定を行い、申請者に認定通知書を交付する。

⑤工事の着工

また、工事完了後は申請した維持管理計画にもとづく
点検を行い、必要に応じて調査や修繕、改良を実施し、
これらの記録を作成して保管することが必要です。

長期優良住宅の認定基準

長期優良住宅の認定基準には、「耐震性」
「省エネルギー性」「維持管理・更新の容易性」
「劣化対策」「住戸面積」「居住環境」「維持保全管理」
「バリアフリー性」「可変性」「災害配慮」の10項目の
要件が設けられています。
このうち、戸建ての新築住宅の長期優良住宅の認定基準の
要件は「バリアフリー性」と「可変性」を除く8項目です。

長期優良住宅の認定基準は2022年10月に改定が行われました。

新築の一戸建ての長期優良住宅の認定基準の主な要件をまとめました。

・耐震性
数百年に1度程度の極めて稀に発生する地震が起きても、
改修によって容易に継続利用するための損傷レベルを抑える
耐震性能があること。
耐震等級2(階数が2以下の木造建築物等で壁量計算に
よる場合は耐震等級3)または免震建物など。

・省エネルギー性
次世代省エネルギー基準に適合する省エネルギー性能
として、断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6。

・維持管理・更新の容易性
内装や設備の内装・設備の維持管理のための清掃・点検・
補修・更新を容易に行うために、必要な措置がとられていること。
維持管理等級3が求められ、配管を躯体に埋め込んでいない、
点検口を設けているなど。

・劣化対策
数世代にわたって躯体が使用できること。劣化対策等級3に加えて、
木造では床下空間の有効高さの確保と床下や小屋裏への点検口の設置など。

・住戸面積
一戸建ては75平米以上、一つのフロアの床面積が階段を除いて40平米以上。

・居住環境
良好な景観の形成や地域の居住環境の維持・向上に
配慮されていること。
地区計画や景観計画、条例によるまちなみ等の計画、
建築協定、景観協定などの区域内では、規定内容との調和を
図ることが求められ、行政官庁への確認が必要。

・維持保全計画
「構造耐力上主要な部分」「水の浸入を防止する部分」
「給水・排水の設備」に関して、定期的な点検・補修などに
関する計画を策定すること。

・災害配慮
災害発生のリスクのある地域においては、そのリスクの
高さに応じて、所管行政庁が定めた措置を講じることが
求められ、行政官庁への確認が必要。

長期優良住宅の認定を受けるメリット

長期優良住宅の認定を受けると、税金や住宅ローンの金利、
地震保険料などの優遇を受けられるといったメリットがあります。

・税金の優遇が受けられる
長期優良住宅は所得税の住宅ローン減税において、
対象となる借入限度額の優遇を受けられます。
2023年に入居する場合の借入限度額は省エネ基準に
適合していない物件は3,000万円、

省エネ基準適合住宅は4,000万円、ZEH基準省エネ住宅は4,500万円、
長期優良住宅・低酸素住宅は5,000万円ともっとも有利です。

また、2024年3月までに入居した場合は、長期優良住宅は
登録免許税はや不動産取得税、固定資産税の優遇も受けられます。

・住宅ローンの優遇が受けられる
フラット35は金融機関と住宅金融支援機構の提携による
全期間固定金利型住宅ローンです。
長期優良住宅はフラット35Sとして、最長35年の借入期間のうち、
通常のフラット35よりも一定期間金利の引き下げを受けられるものです。
2023年3月分の申し込み受付分で、フラット35Sの金利Aプランの場合は、
当初10年間0.25%の金利引き下げを受けられます。

また、最長50年の全期間固定金利型住宅ローンのフラット50を
できるのは、長期優良住宅に限られています。

・地震保険料の割引を受けられるケースがある
長期優良住宅での認定基準には、耐震性に関わるものもあるため、
一部の住宅は地震保険料の保険料割引の対象にも該当します。
耐震等級2は30%、耐震等級3は50%、品確法にもとづく
免震建築物は50%の割引となります。

・地域型住宅グリーン化事業の対象となる
地域型住宅グリーン化事業は、国土交通省の採択を受けた
グループに所属する中小の工務店に長期優良住宅などの
木造建築の建設を依頼する場合、補助金を受けられるものです。
中小の工務店をはじめ、木材の流通事業者や製材・プレカット
事業者などでグループが構成されています。
長期優良住宅の補助上限額は140万円です。

長期優良住宅の認定を受けるデメリット

長期優良住宅は様々な優遇措置を受けられる一方で、
金銭面や手間がかかることによるデメリットもあります。

・申請には時間やお金がかかる
長期優良住宅の認定申請を施工会社に依頼すると、
20万円~30万円程度の費用がかかります。
申請を建築主が行う場合でも、数万円程度を要します。
住宅性能評価機関や行政官庁への申請を行うため手間がかかり、
数週間程度の審査期間が必要になり、着工できるまでの
期間が長くなることもデメリットです。

また、ハウスメーカーなどでは長期優良住宅の認定基準に
標準仕様で対応していることもありますが、工務店で建てる
場合には、一般的な住宅よりも建築コストが2~3割程度アップします。

・維持保全計画に沿ったメンテナンスや履歴の記録の手間がかかる
長期優良住宅は認定を取得して家を建てたら終わりではなく、
メンテナンスの実施や記録の保管の手間がかかることもデメリットに挙げられます。

長期優良住宅は維持保全計画に沿って点検を行い、
必要に応じて調査や修繕、改良などのメンテナンスを行い、
こうしたメンテナンの履歴を記録しておくことが義務付けられています。

所管行政庁から維持管理状況の報告を求められた際に
報告をしないケースや、虚偽の報告をした場合には30万円以下の
罰金が科される恐れがあります。

おわりに

長期優良住宅を建てることで、長期間にわたって安全に快適に
暮らし受け継いでいくことができます。
また、住宅ローンや住宅ローン減税などの優遇措置もあります。
ただし、長期優良住宅の認定を受けるにはコストや手間がかかります。

何を住宅に求めるかは人それぞれですので、建築家などの専門家に
相談しながら、長期優良住宅への適合や認定申請について検討しましょう。

タイトルとURLをコピーしました