自然素材の家とは?

自然素材の家 住宅

自然素材への憧れ

家を建てるなら、健康的な快適に過ごしやすい自然素材の
家に憧れを持っている人は少なくありません。

しかし、漆喰や無垢材といった自然素材を用いることで、
「費用が高くなる」「メンテナンスに手間がかかるのでは?」
といった不安を持つ人は多いのではないでしょうか。
今回は自然素材の家について、代表的な自然素材の特徴や
メリット、注意点などを紹介していきます。

そもそも自然素材の家とは?

自然素材の家とは、一般的に無垢材や漆喰、珪藻土
などの自然素材を用いた家のこと。
ただし、自然素材の家には明確な定義はなく、どの程度、
自然素材を使用しているかは異なります。

自然素材の家の中には、断熱材や接着剤に至るまで極力、
化学物質を使用した素材を使用しない家もあります。
一方で多くの箇所に自然素材を使っていれば、一部に
ビニールクロスや合板を使用している家も、自然素材の家
と呼ばれているケースもみられます。

また、自然素材の家には使用する素材やデザインによって、
和モダンや南欧風、北欧風など様々なテイストの住まいがあります。

↑無垢床材+漆喰壁のイメージ

代表的な自然素材の特徴

住宅に使われる代表的な自然素材について、それぞれの
特徴をみていきます。

無垢材
無垢材は丸太から切り出して製材した木材をいます。
これに対して、住宅に使われることが多い集成材や合板は、
自然の木の板を接着剤で貼り合わせたものです。

無垢材は肌触りがよく、経年変化を楽しめる素材で、
吸放出性に優れていることから調湿作用もあります。

無垢材として住宅に使われる樹種で代表的なのは、
スギやヒノキ、ナラ、ケヤキなどです。樹種によっても、
節の有無や固さなどの特徴の違いがあります。

漆喰
漆喰は消石灰にワラやスサ、海藻などから作られたなどを
混ぜた塗り壁材です。漆喰はアルカリ性のため、カビや細菌を
分解することから消臭効果があります。

また、耐火性があり、万が一燃えた場合にも、有害物質を
発生しにくいこともメリットです。漆喰には調湿効果もあります。

珪藻土
珪藻土は海や湖でプランクトンの死骸が長い年月によって
堆積して化石化したものです。
珪藻土には小さな無数の穴があるため、臭いやホルムアルデヒド
などの有害物質を吸着して除去する効果があり、耐火性も高いです。
また、調湿力の面では漆喰よりも効果が期待できるほか、
価格面も漆喰に比べて比較的安いです。

↑拙宅のリビング、壁は珪藻土で床は無垢床材

コルクタイル
コルクタイルは、コルク樫の木の皮を砕いて作られたコルク材
を用いた床材です。
コルクタイルは保温性が高く、肌触りがよいのが特徴です。
コルクには多くの気泡があることから、弾力性があって
柔らかくいため、歩行時の足への負担が軽く、万が一転倒
したときにも、衝撃を和らげる効果があります。

また、気泡によって音を吸収することから遮音性があるほか、
耐火性や耐水性もあるなど、機能性に富んだ素材です。

天然リノリウム
天然リノリウムは亜麻仁油の酸化物に石灰岩や松ヤニ、
コルク粉、天然色素などを混ぜて、麻布に圧着した素材です。
天然リノリウムには亜麻仁油による抗菌作用があり、耐久性や
耐火性が高いといった特徴があります。

自然素材の家のメリット

自然素材の家にはデザインや機能性の面などからメリットがあります。

自然素材ならではの風合いやデザイン
自然素材を使うメリットは意匠の面では、自然素材ならではの
質感や風合いの良さがあり、それを活かしたデザインの住まいを
作れることが挙げられます。

たとえば、無垢材の柱や梁を現しにした住宅は、無垢材ならではの
迫力や美しさがあります。

天然の木を薄くスライスして合板に貼った突板や、やや厚めに
スライスした突板のフローリングは、天然の木を使ってはいる
ものの、無垢材ならではの風合いの良さには及びません。
また、漆喰や珪藻土にも、自然素材ならではの独特の質感があります。

健康によい住まいになる
自然素材の家は化学物質を使用していない素材を中心に
用いているため、ホルムアルデヒドなどによるシックハウス
症候群のリスクを抑えられることもメリットです。

シックハウス症候群とは、建材などから発生する化学物質に
よる室内の空気汚染から、目の痛みやかゆみ、のどの痛みや
乾燥、鼻水、頭痛、吐き気、めまい、湿疹などが引き起こされる
健康被害をいいます。
建築基準法の改正によって、2003年7月以降は24時間換気
システムの設置が義務付けられ、ホルムアルデヒドを発散する
建材の内装への使用が制限されました。

しかし、建築基準法を遵守していればシックハウス対策は
万全というわけではなく、自然素材の家はより安全で健康的な
暮らしを送れる家といえます。

素材によっては機能性がある
代表的な自然素材の特徴を紹介したように、自然素材はそれぞれ
の特性による機能性を持っていることから、過ごしやすい環境を
得られることもメリットです。

たとえば、無垢材や珪藻土、漆喰には調湿作用があるため、
湿度が高い季節でも、床など室内がベタつきにくく、結露を
抑える効果も期待できます。珪藻土の方が漆喰よりも調湿効果が
高い一方で、漆喰はカビを抑制する作用もある素材です。
また、スギやヒノキといった柔らかい樹種の無垢材の
フローリングやコルクタイルには、足腰への負担がかかりにくい
というメリットがあります。

↑漆喰壁のニッチと羽目板のイメージ

自然素材の家で注意する点

自然素材の家には多くのメリットがありますが、実際に自然
素材の家を作って暮らしていくにあたっては、知っておきたい
注意点があります。

素材によってはメンテナンスの手間がかかる
自然素材は、素材によってはメンテナンスの手間がかかること
を認識しておいた方が良いと思います。

オイル仕上げの無垢材のフローリングは、水拭きでなく乾拭き
でのお手入れが基本になります。
経年劣化によってオイルが失われていくため、定期的にオイル
塗装が必要です。

ただし、汚れやキズをサンドペーパーでこすり、オイルを塗布
するなど、手間はかかりますが自分で補修することができる
ため、一概にはデメリットとはいえないでしょう。

また、漆喰や珪藻土の壁もハタキやほうきでホコリを
落とすのが基本のお手入れで、汚れた箇所が気になる
場合には、消しゴムやサンドペーパーで汚れた部分を削ります。
漆喰は拭き掃除をすることもできますが、珪藻土は水拭き
できない点に注意が必要です。

反りや割れなどの特性への理解が必要
無垢材のフローリングは乾燥や収縮を繰り返すことで、反りや
割れが生じるため、隙間ができることがあり、キズもできやすい
ことも難点です。
また、漆喰や珪藻土などの塗り壁は、モノをぶつけたときなどに
割れてしまいやすいです。

一方で、無垢材は風合いの変化があり、キズも味わいに
なります。
自然素材の家は、経年劣化による変化を味わいとして
捉えるような心構えができる人に向いているといえます。

自然素材を使うことでコストが高くなる
自然素材の家は材料費や施工の手間により、一般的な住宅よりも、
2~3割程度コストがかかる傾向があります。
ただし、住まい全体の予算配分を調整したり、自然素材を使用
する箇所を限定したり、使用する素材のグレードを検討したり
するなど、予算内に抑えていく方法はあります。

↑昔の住宅は、自然素材が普通だったかも

おわりに

一言で自然素材の家といっても、自然素材を使う範囲には
差があり、様々なデザインの住まいがあります。
建築家との家づくりなら、家族構成やライフスタイル、
好み、予算などを踏まえたうえで、理想の自然素材の家を
実現していけます。

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