準耐火構造と省令準耐火って

住宅

注文住宅を建てるとき

注文住宅を建てるときなどに、準耐火構造という言葉を
見聞きすることがあるのではないでしょうか。
また、建築基準法による準耐火構造と混同しやすいものに
省令準耐火構造があります。

今回は日頃、聞きなれない準耐火構造と省令準耐火構造について
概要を押さえたうえで、使われるシーンなどを紹介していきます。

準耐火構造とは

準耐火構造は耐火構造とともに、建築基準法や関連法令で
定められた構造です。

耐火構造は火災による倒壊や破壊を防止するための
耐火性能を持ち、壁や柱、床、梁、屋根、階段などの
主要構造部が、国土交通大臣が定めた構造、あるいは
認定を受けたものをいいます。
耐火構造では、部位や階数により、30分間から3時間に
わたって火災に耐える性能の基準が定められています。

これに対して準耐火構造は、通常の火災による延焼を
抑制する性能を持ち、壁や柱、床、梁、屋根、階段などの
主要構造部が国土交通大臣が定めた構造、あるいは認定を
受けたものです。
準耐火構造は耐火構造よりも、耐火性能が緩やかな基準になります。
準耐火構造では部位によって30分、または45分から60分の間、
火災に耐えることが求められています。
具体的には、例外もありますが基本的に外壁や間仕切り壁、柱、
床、梁は45分間、屋根や階段は30分間にわたって火災に耐える
性能の基準が定められています。

省令準耐火構造とは

省令準耐火構造は建築基準法によるものではないという
点が大きく異なります。
省令準耐火構造は、住宅金融支援機構が建築基準法に準ずる
防火性能を持つ構造として、定めたものです。
フラット35の利用にあたっては、住宅金融支援機構が定めた
技術基準への適合が条件となっています。

省令準耐火構造には3つの特徴があります。1つ目は外部からの
延焼防止で、隣家からのもらい火による火災を防ぐため、屋根や
軒裏、外壁を防火性能の高い構造としています。
2つ目は各室防火で、火災の発生源とそのほかの場所の区画を
分けるため、火に強い石膏ボードなどを使用します。
3つ目は他室への延焼遅延で、火が建物全体に回りにくくするため、
壁や天井内部にファイヤーストップ材を設置します。

省令準耐火構造は防火構造に近い構造です。
ただし、建築基準法の防火構造は周囲からの延焼を防ぐ構造ですが、
省令準耐火構造はこれに各室防火が加わったものといえます。

火災保険での準耐火構造・省令準耐火構造の扱い

住宅の構造は火災保険の保険料を左右する要素の一つです。
火災保険の保険料には、火事によるリスクを構造で区分した
構造級別があります。
住宅は保険料が安い方からM構造、T構造、H構造という区分に
分けられています。

M構造に該当するにはコンクリート造建物や耐火建築物
などの共同住宅です。
共同住宅以外のコンクリート造建物や耐火建築物のほか、
準耐火建築物や省令耐火構造建物はT構造に該当します。
一般的な木造住宅はH構造です。
M構造やT構造に該当しないH構造の建物よりも、火災保険料が
割安になります。

防火地域・準防火地域に関わるのは耐火構造・準耐火構造

都市計画法で定められる地域地区の種類として、防火地域や
準防火地域がありますが、省令準耐火構造との関連性はない
という点に注意が必要です。
防火地域や準防火地域は住宅などの密集地で、火災による被害を
広げないようにするために設けられています。
ちなみに東京23区のほとんどのエリアは、防火地域や準防火地域に
指定されています。

防火地域に建てられるのは、主要構造部が耐火構造で延焼ラインに
防火設備を備えた耐火建築物と、主要構造部が準耐火構造で
延焼ラインに防火設備を備えた準耐火建築物に限られています。
延焼ラインとは隣家などから火が燃え移る可能性のある範囲のことです。
具体的には延床面積が100平米を超える建物や階数が3以上の建物は
耐火建築物、それ以外の建物は準耐火建築物に制限されています。

準防火地域では、延床面積1,500平米を超える建物や階数が4以上の
建物は耐火建築物にしなければなりません。
また、延床面積や階数によっては建てられる建物が、技術的適合
建築物や準耐火建築物に制限されています。

木造で省令準耐火構造にしやすいのは2×4

木造木造には主に在来軸組工法と2×4という種類がありますが、
準耐火構造や省令準耐火構造、耐火構造の基準を満たすことは可能です。
中でも省令準耐火構造の基準を満たしやすいのは2×4工法と言われます。
2×4は壁で建物を支える構造であり、構造上必要な耐力壁に防火材を
使用することで、各室防火を実現できます。

おわりに

注文住宅を建てる地域によっては準耐火構造などにすることが
必要ですが、そのほかのエリアでは省令準耐火構造にするという
選択肢もあります。
省令準耐火構造は耐火構造や準耐火構造には耐火性能・防火性能が
劣りますが、火災による延焼のリスクを抑えられる構造です。
また、火災保険料が割安になります。

建築家との家づくりなら、耐火性能・防火性能を含め、住まい
づくりに関する相談をしながら進めていけます。

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