2026 年も住宅価格の高騰は収まっておらず、
これからマイホームの取得や家づくりを考えている方にとっては
不安要素となっているのではないでしょうか。
マンションを見ても、2025年度の首都圏の新築マンション平均価格は
過去最高水準を更新し、未だ高騰を続けています。
今回は建設費の高騰の現状と原因、
そして今後の見通しについて押さえたうえで、
家づくりで建設コストを抑えるための対策について
考えていきます。
建設費高騰の現状
一般財団法人建設物価調査会が公表する
「建設物価建築費指数」によると、
2026年5月の木造住宅(東京)の工事原価の指数は149.6(暫定値)で、
前月比0.1%、前年同月比では5.6%と上昇しています。
この建築費指数は2015年の建築費を100としたもので、
建設コストの上昇が続いていることは、
データの面からも明らかです。

出典:一般財団法人 建設物価調査会
原因1:資材の価格上昇
設費の上昇の主な原因の1つ目として、
資材価格の上昇が挙げられます。
コロナ禍に騒がれた、ウッドショックとは呼ばれた
木材価格の高騰は、現在では落ち着いています。
しかし、円安によって、木材や鉄骨やアルミ、
コンクリートといった多くの建築資材のコストが
高止まりしている状況にあります。
また、エネルギー価格や人件費の上昇による
国内製品の製造コストや運搬コストのアップも、
資材価格の高騰の要因となっています。
さらに昨今ではイラン情勢による影響から、
建築用塗料や建築仕上げ材の価格が高騰し、
ビニール床タイルやビニール床シートといった
石油製品化学製品の価格も上昇していることから、
資材価格のさらなる上昇が危惧されているのです。
原因2:人件費の高騰
設費上昇の2つ目の原因として挙げられるのは、
人件費の高騰です。
建設業に従事する職人の高齢化によって、
慢性的な人手不足が深刻化し、
人材確保を図るために人件費が高騰しています。
団塊の世代の熟練技術者が後期高齢者となり、
現場から引退する一方、若手入職者は減少しています。
また、2024年4月に働き方改革関連法による
時間外労働の上限規制が、
建設業従事者にも適用されるようになったことも、
人手不足に拍車をかけた要因です。
さらに、人手不足によって工期が長期化すると、
足場などの仮設費や管理費といったコストが上昇することも、
建設費の上昇につながっています。
人件費に関連するところでは、
(建設業界の健全化のためには望ましいことですが、)
法定福利費の適正な負担もコストアップ要因になっています。
建設業界では社会保険に未加入の
事業者・労働者が問題視されてきたことから、
国土交通省が適切な加入を推進しています。
2020年の建設業法の改正によって、
適切な社会保険の加入が要件となりました。
国土交通省は元請事業者に対して、
下請事業者の社会保険の加入状況の確認なども求めています。
原因3:省エネ基準適合義務化
建設費高騰の3つ目の原因は、建築物省エネ法の改正により
2025年4月から施行された
すべての新築の建築物の省エネ基準への適合義務化です。
新築住宅も省エネ基準への適合が義務化されたことにより、
高性能の断熱材や高断熱の窓(サッシ・ガラス)の採用、
給湯器やエアコンなどの高効率設備の導入が必要となり、
コストアップ要因となっています。
建設費の高騰はいつまで続く?
これまでに挙げた建設費の高騰の原因のうち、
円安による資材価格の高騰は、今後の為替動向によっては、
将来的には緩和される可能性があります。
しかし、建設業界の人手不足による人件費の高騰は
構造的な問題のため、
短期間での解決は難しいと考えるのが現実的です。
建設現場ではAIなどのICT技術や
ロボットの導入なども進んでいますが、
建設業は現場による環境の可変性が大きく、
作業内容も多岐にわたることから、
製造業の現場のような自動化を実現するのは
容易ではありません。
また、物流業界においても人手不足が慢性化していることから、
運搬コストの高騰化も続くと考えられます。
こうした点から、建設費の高騰は今後
緩やかになっていく可能性はあるものの、
高止まりが続くとみられています。
住宅の建設費を抑えるには?
住宅の建設費が以前の水準に戻ることは考えにくいことから、
家づくりを予算内に抑えるには設計プランの工夫などによる
コストダウンを考えていく必要があります。
コストを抑えるための対策の1つめ目とし挙げられるのは、
建物の形状をシンプルにすることです。
同程度の広さの建物で比較すると、
正方形や長方形の総二階建てのシンプルな形状の建物と、
凹凸の多い複雑な形状の建物では、
シンプルな形状の建物の方が建設コストを抑えられます。
凹凸が多い形状の建物は、
屋根や外壁の面積が増えて手間もかかることから、
材料費も人件費もアップするためです。
2つ目として、水回り設備を
1箇所にまとめることが挙げられます。
キッチンや浴室、洗面室、トイレといった
水回り設備を1箇所にまとめることで、
給水管や給湯管、排水管の配管の長さを抑えられ、
ルートも単純になることから、
材料費や人件費といったコストを抑えられます。
具体的には、キッチンと洗面室・浴室、トイレを
隣接した場所に配置する、
1階と2階で同じ位置に
トイレを配置するといったプランニングが、
コストダウンにつながります。
3つ目は、使用する建材や設備のグレードの見直しです。
外壁材や屋根材といった外装材、
フローリングやクロスなどの内装材、
キッチンやお風呂、洗面台、トイレなどの水回り設備を
すべて理想のものを選ぶと、予算オーバーにつながりがちです。
こだわりたいところと妥協できるところを考えて、
優先順位をつけることが大切です。
おわりに
マイホームの取得費用の
トータル予算で考えるのであれば、
幅広いエリアで土地を探して、
土地の購入費用を抑えることも選択肢となります。
また、マイホームに入居したい時期が決まっている場合には、
早めに家づくりに関して設計事務所などの専門家に相談することで、
コスト調整のための時間を確保することができます。
建築家・設計事務所との家づくりは
コストが高いと思われることもありますが、
設計や仕様の工夫でコストを抑えたプランニングも可能です。

