2025 年4 月の法改正による確認申請の長期化その後

住宅ローンの借換え その他

2025 年4 月に建築基準法と建築物省エネ法の改正が施行されてから、
1年以上が経過しています。
しかし、建築確認申請の審査期間が長期化した状態が
解消されていません。

設計業界の同業者と話をする機会もありますが、
皆さん同じような感覚をお持ちで、
事前審査の提出から確認済証受領までの期間は、
改正前は約30日~40日程度でしたが、
2026年6月時点では約60日~75日程度を要する状態となっています。

法改正の影響から、
特定行政庁に代わって建築確認や検査の業務を担う
指定確認検査機関の業務が逼迫しているのが主な要因です。

今回は2025年の建築基準法の改正以降、
建築確認申請が長期化している要因について解説し、
注文住宅を建てるときの影響や対策について考えていきます。

要因1:木造戸建ての構造関連の審査の厳格化

2025年4月の建築基準法の改正により、
いわゆる4号特例が縮小されました。
改正前は一般的な木造住宅は4号建築物に該当し、
構造関連の審査簡略制度の対象でした。

改正後は木造2階建てと
延べ面積200平米超の木造平屋は新2号建築物、
延べ面積200平米以下の木造平屋は
新3号建築物に区分されています。
新3号建築物は改正前の4号建築物と同様に
構造関連の審査簡略制度の対象ですが、
新3号建築物は審査省略制度の対象から外れました。

新3号建築物である木造2階建てと
延べ面積200平米超の木造平屋は、
審査省略制度の対象外となったことで、
構造関連図書の提出が必要となり、
構造関係規定等の審査が実施されるため、
従来よりも審査期間が長引く要因となっています。

要因2:省エネ基準の適合性審査の追加

2025年4月から建築物省エネ法の改正によって、
すべての建築物への省エネ基準適合義務化され、
新2号建築物も建築確認申請の際の提出物に
省エネ関連図書が追加されました。
建築確認の審査に省エネ基準の適合審査が新たに加わったことも、
手続きに時間がかかるようになった要因です。

要因3:木造戸建ての大規模リフォームに建築確認申請が必要なケースが増加

改正前の4号建築物は、都市計画区域等内に建築する際に
建築確認申請や検査が必要でした。
改正後の新2号建築物は
全ての地域で建築確認・検査が必要となり、
これには大規模な修繕や模様替えも含まれます。

大規模な修繕や模様替えで建築確認申請が必要となるのは、
主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の
一種以上の過半を改修するリフォームです。
たとえば、老朽化や間取り変更によって、
柱、もしくは梁の半数を超える本数を交換するケースや、
階段の半分を超えて架け替えるケース、
屋根材の張り替えで根太までの改修面積が半分を超えるケース
などが該当します。

これにより、木造2階建てや床面積200平米超の木造平屋の
大規模リフォームで建築確認申請が必要なケースが増えたことも、
指定確認検査機関の審査が逼迫する要因として挙げられます。

住宅の確認申請の長期化による影響

住宅の建築確認申請の長期化は、
注文住宅を建てる施主にも影響を及ぼしています。

建築確認申請が下りて確認済証が交付されるまでは、
着工できないことから、
建築確認申請の長期化はスケジュールの遅延につながります。
お子様の入園・入学、あるいは転校の時期、
住み替えによる退去時期などの兼ね合いから、
引っ越しの時期が決まっている場合には、調整が必要となります。

また、一般的に住宅ローンは完成時に融資が実行されるため、
土地の購入費用や工事費用の着手金・中間金の支払いに
ローンを利用する場合には、つなぎ融資が用いられています。
つなぎ融資は住宅ローンよりも金利が高く、
住宅の引き渡しまでの期間が長引くほど、
金利負担によるコストが増加します。

さらに、昨今では建設業界は人手不足が深刻化していることから、
着工が想定よりも遅れたことにより、
職人の手配が一旦白紙となると、
再度手配するまでに時間がかかり、
スケジュールのさらなる遅延や
コストアップを招くことも考えられます。

確認申請の長期化への対策

建築確認申請の長期化による影響を抑えるための対策は、
家づくりの依頼先の選定とスケジュールの2つ面に分けられます。

家づくりの依頼先の選定では、
2025年4月の改正建築基準法の施行以降に、
住宅の建築確認申請の経験が豊富な設計事務所や工務店に
依頼することが重要です。
構造計算や省エネ基準などの面で、
法改正への適合が求められています。

法改正後の建築確認申請に不慣れな設計者は、
申請書類の不備による遅延が懸念されます。
申請書類に不備があると審査に時間がかかり、
差戻しによって再審査となるケースでは、
大幅なスケジュールの遅延につながります。
そのため、設計力やデザイン力はもちろんですが、
建築確認申請の実務能力も、
依頼先の選定において重要な要素です。

スケジュールに関しては、
ゆとりあるスケジュールを確保することと、
できるだけ早く建築確認申請を出すための
スケジュールを意識した行動が大切です。

建築家との家づくりでは、
半年程度の設計期間がかかるのが一般的です。
現状では、建築確認申請が下りるまでに
2ヶ月~3ヶ月程度の期間がかかるのを見越したスケジュールで
動く必要があります。

土地を見つけてから、
家づくりの依頼先を探すのでは時間を要するため、
土地探しと並行して設計事務所や工務店などにあたっておきます。
早めに相談することで、
引き渡しまでのスケジュールを逆算して動くことができます。
入居したい期日が決まっている場合には、
遅くとも1年〜1年半程度前から動くようにしましょう。

さらにできるだけ早く建築確認申請の手続きを進めるには、
設計段階で、プランニングの意思決定を
速やかに行うことも重要です。
一度決まった間取りを見直したり、
仕様の変更を繰り返したりすると、
設計期間の長期化によるスケジュールの遅延につながります。
スムーズに意思決定を行うには、
家族間の意見を十分にすり合わせて、
家づくりの優先順位を明確にしておきましょう。

建築基準法の改正により、家づくりのご相談をいただいてから、
設計を行って工事に着工できるまでには、
以前よりも長い期間を必要としています。
建築家との家づくりをお考えの方は、
着工までのスケジュール感を含め、お気軽にご相談ください。

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