住宅の火災保険について

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住宅の火災保険

住宅ローンを組んでマイホームを建てるときや
購入するとき、あるいは賃貸住宅を借りるときには、
火災保険への加入が必須とされるのが一般的です。
しかし、「火災保険って本当に必要?」「火事なんて
滅多に起こらないのに加入するメリットはあるの?」と
疑問を感じている方は少なくないのではないでしょうか。

今回は火災保険の必要性や補償の範囲など、加入時に
知っておきたいポイントを紹介していきます。

火災保険とは

火災保険とは火災のほか、落雷、台風などによる風災、
洪水、雪災、破裂や爆発、盗難などによって生じた損害を
補償する保険です。

補償の対象となる災害などの範囲は、保険会社や商品によって
異なりますが、火災による損害に備える保険というよりも、
住まいに関する損害全般に備える保険として位置づけられています。

ただし、火災保険は幅広い災害をカバーする保険ではありますが、
地震による損害は補償されないという点に注意が必要です。

地震保険は地震や津波、噴火による損害を補償する保険です。
地震で家屋が倒壊した場合はもとより、地震による火災による損害も、
火災保険では補償されず、地震保険では適用の対象となります。
地震保険に加入するには火災保険への加入が必要です。

地震保険の契約金額は、火災保険の契約金額の30%~50%の
範囲内と決められています。

また、火災保険は補償の対象が建物と家財に分かれています。
門や塀、物置、車庫、カーポートといった建物に付属する
ものも建物に含まれます。

一方、家財に該当するのは、家具や家電、衣類など日常生活に
必要なもの全般です。
このほかにも、自転車や排気量125cc以下の原動機付自転車は
家財に含まれるのが一般的です。

ただし、30万円を超える貴金属や美術品の取り扱いは保険会社や
商品によって異なり、オプション契約が必要なケースや30万円の
補償となるケース、100万円の補償となるケースなどがあります。

火事などどの災害に見舞われたときには、建物と家財のうち、
補償を受けられるのは保険をかけたもののみです。

たとえば、建物の保険にしか加入していなければ、火事でベッドや
ダイニングテーブルなどの家具や、電子レンジや冷蔵庫などの
家電、衣類などが焼けてしまっても、建物に対する補償しか
受けられません。万が一に備えて、必要な補償を受けられるように
加入しておく必要があります。

火災保険はなぜ必要?

住宅火災の発生件数は減少傾向にはあるものの、政府広報
オンラインによると、2021年に1万936件も起きています。
まれにしか起きないとはいえ、必ずしも火災に巻き込まれない
とは言い難い数字です。

参考:政府広報オンライン|住宅火災からいのちを守る10のポイント。「逃げ遅れ」を防ぐために。

火災保険は隣家などの火災に巻き込まれた場合や、火災を
起こしてしまった場合のリスクのほか、自然災害に見舞われた
場合のリスクも踏まえると、加入する必要性が高いといえます。

まず、隣家などの火災に巻き込まれた場合からみていくと、
火災が起きてしまうと、他の建物に燃え移ることは少なくありません。
特に木造住宅が密集しているエリアでは、大規模な範囲で延焼が
起こることさえあります。

とはいえ、「隣家からの火災であれば、隣家から補償を
受けられるのでは?」と思うかもしれません。

しかし、失火責任法という法律によって、隣家の火災の延焼に
よって損害を受けても、火元となった家の人に重大な過失が
なければ、損害賠償を請求できないことが規定されています。

この法律が制定されたのは明治時代で、木造住宅が密集して
建てられていることが多かったことから、延焼による損害を
火元の人が負うのは現実的に困難とされたためです。

重大な過失として認められるのは、想定できたはずのリスクに
対して注意を怠った場合に限られています。

こうした理由から、たとえ隣家からの延焼で自宅が燃えて
しまっても、損害賠償請求を行うことはできません。
多くの人にとって自宅の再建費用や家具、家電、衣類などの
日常生活用品を自力で用意するのはハードルが高いため、
万が一に備えて、火災保険へ加入しておく必要があるのです。

また、自宅から出火して火災を引き起こしてしまった場合も同様です。
家を建て直す費用や家具、家電、衣類などの購入費用が必要です。
さらに、隣家に延焼してしまった場合には、重大な過失が
なければ損害賠償責任がないとはいえ、近所の燃えてしまった
家との関係性に悩むことも考えられます。

保険会社によっては、延焼による近隣の住宅や家財を補償するための
類焼損害特約を設けているため、オプションでつけるという選択肢もあります。

さらに最近では、気候変動の影響からか豪雨災害が激甚化・
頻発化しています。
台風によって洪水が発生して床上浸水の被害に遭ったら、
水に浸かった畳や家具、家電などを処分し、大がかりな
リフォームが必要です。
台風などによる風災や洪水、落雷などに幅広く対応している
火災保険に加入すると、自然災害によるリスクにも備えられます。
特に河川や海、山に近い場所など、ハザードマップを確認して
災害が起こるリスクの高い場所に住む場合には、自然災害への備えが必要です。

持ち家と賃貸での加入するべき保険の違い

実際に火災保険に加入するにあたっては、持ち家の戸建てと
マンション、賃貸物件では加入の対象となる商品や必要な
補償に違いがあります。

<持ち家>の場合

住宅ローンを利用してマイホームを建てるときには、
通常、金融機関から返済期間中の火災保険への加入が必須とされます。
以前は金融機関が優先して保険金を受け取れるように、
質権設定がされていました。

火災保険に金融機関が質権設定をしている場合に、火災などに
被害に見舞われた際には、ローンの残債までの額は金融機関が
受け取り、残債を超えた分を契約者が受け取ることになります。

住宅ローンを利用する場合に金融機関から必須とされるのは
建物の方だけですが、建物と家財の両方を補償の対象とする
ケースが目立ちます。

また、分譲マンションの場合は、所有者は専有部分を補償の対象とし、
管理組合が共用部分を補償の対象とする火災保険に加入するのが一般的です。

オール電化マンションは火災が起きるリスクが比較的低いですが、
IHクッキングヒーターの使い方の問題や漏電によって火災が
起こるリスクはあります。
また、自然災害への備えという面からも、オール電化マンションも
火災保険に加入する必要性があります。

<賃貸物件>の場合

賃貸物件は、建物を所有するオーナーが建物の火災保険に加入
しているのが一般的です。
しかし、借主は退去する際に原状回復義務があり、基本的には
借りたときの状態に戻さなければなりません。
そこで、賃貸物件では家財保険と借家人賠償責任保険にセットで
加入するのが一般的です。

入居者の不注意で火災や水漏れなどにより、建物の損害が起きた
ときに備えるのが、借家人賠償責任保険です。
一方、台風などの自然災害や放火などによって、建物に損害が
生じたときには、オーナーの火災保険で補償を受けることになります。
また、自分の家具や家電、衣類などに対する損害に備えて、
家財保険にも加入しておきます。

おわりに

マイホームを建てるときや賃貸物件を借りるときには、
新生活のための家具や家電の購入費用や引っ越し費用など、
出費が重なるタイミングのため、火災保険に加入することに
躊躇するかもしれません。

しかし、万が一、火災や台風などの災害に見舞われたときに
安心して暮らせるように、火災保険や地震保険への加入を検討しましょう。

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