島根県芸術文化センター(グラントワ)へ行く

建築見学

島根県芸術文化センター(通称:グラントワ)にて9月中旬より
企画展「建築家・内藤廣/BuiltとUnbuilt
赤鬼と青鬼の果てしなき戦い」を開催しています。

以前から行こうと思っていましたがなかなか島根県西部に行く機会など
なく行けずじまいでしたが、今回ばかりは展覧会もあるとの事で
羽田から空路の日帰りスケジュールで展覧会とグラントワの
建築見学に行ってきました。

グラントワって

島根県西部に位置する益田市にある、島根県芸術文化センターは
4つの展示室がある美術館と1500席の大ホールと400席の小ホールを
もつ芸術劇場の芸術文化複合施設です。

元々、島根県西部の石見地方は大型施設の整備が手薄だったことで
県がその石見地方の地域振興の核として建設するということになり
設計コンペを経て建築家・内藤廣氏の設計にて、
2003年にオープンした施設となっております。

↑中庭と水盤

グラントワにて建物見学

この建物の特徴は何といっても屋根や外壁を覆う石州瓦だと思います。
約28万枚の石州瓦に覆われた独特の外観なのですが、この瓦の
表面が太陽の光や空の色によってさまざまな表情が出てきます。

そもそも、この石州瓦は島根県石見地方でかなり昔から家屋の
屋根で使用されてきて日本の三大瓦の一つともされています。
(ちなみに残り2つは三州瓦、淡路瓦)

建物内部は大きな中庭を囲むようにエントランスから時計回りに、
美術館、芸術劇場大ホール、小ホール、レストランと配置されており
光沢を放ったカリン材の床板や杉板型枠のコンクリート打ち放しが
すばらしくマッチして、明るすぎず暗すぎずの雰囲気も良いです。

↑芸術劇場大ホール(今回は入れなかった)

中庭には水盤もある

中庭の大きさは45m四方、中央には25m四方の水盤があります。
この水盤は中庭で催しがある時は消えて無くなり、広場に変身する
というフレキシブルな構造になっているそうです。

この中庭にはベンチが点在しており、休憩がてらベンチに腰掛けて
ぼーっと水盤に映し出される建物を見ているだけでも楽しいです。

↑中庭と大きく出た庇

建築家・内藤廣氏の展覧会へ

企画展
「建築家・内藤廣/BuiltとUnbuilt 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い」
グラントワの設計者である内藤廣氏のこれまでの軌跡を、
「Built」と「Unbuilt」の双方からたどるという趣旨の展覧会。
4つの展示室のうち3つを使う規模で図面や模型のボリューム感がものすごい量です。

「Built(ビルト=建設された建物)」は海の博物館を始め、
牧野富太郎記念館や高田松原や紀尾井清堂といった氏の代表作から
色々な住宅の図面や模型の数々を見る事が出来ます。

ここで面白いのは、赤鬼と青鬼の作品に対するコメントです。
「赤鬼」は「情熱・夢想・逸脱」などの象徴。
「青鬼」は「論理・現実・堅実」などの象徴ということで、
二匹の鬼が内藤氏になり代わり様々なコメントをするのですが、
今までの雑誌等には書かれていないような裏話みたいな内容もあり、
そのコメントも面白いのです。

「Unbuilt(アンビルト=実現しなかった建物)」は今まで日の目を見なかった
コンペ等に敗れたプロジェクトの模型等の展示がされています。
新国立劇場や東京国際フォーラムといった有名コンペから近年の
コンペ案までざっと30を超えるものがありました。
現在建っているものと頭の中で対比しながら氏の考え方が分かる感じです。
どれも秀逸なのでしょうが、自分個人的に実現してほしかったと思うのが
石川県立図書館のコンペ案です。

勿論現存している仙田満氏が設計した図書館も造形的・機能的には
素晴らしいものだとは思いますが、どことなく、「グラントワ」や
「安曇野ちひろ美術館」を彷彿させる感じでどこかでこのような
図書館が出来ると良いなと思いました。

↑ショップで購入した公式図録

おわりに

本来であれば、もっとじっくり腰を据えて展覧会と建築見学が
出来ればよかったのですが、諸般の都合にて日帰り強行スケジュール
とはなりましたが、それなりに楽しむことが出来ました。

内藤氏の展覧会は年内12月4日までとなっております。
休館日:毎週火曜日、開館時間:9:30~18:00
当日券:一般/企画展で1200円です。

場所は気軽に行けるところではないのですが、興味がある方は
是非とも行かれることをお勧めいたします。

↑ショップで購入したドリップコーヒー

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